ピロアッパー商品化のキッカケは、筑波2000で開催された、スーパーバトルでの出来事でした。
フロントキャンバーを -5.8°に設定し、アタックを行ったのですが、走行後のセットダウンで、
明らかに左フロントタイヤの外側が磨耗していました。
そうです、タイヤの 「外あたり」 状況が激しいのです・・・・・・。
このキャンバー角で、これほどまで、「外あたり」 することはまず考えられず、
「どこかで、動いてはいけない、何かが動いている」 という結論に達しました。
そして、その後の検証により、この犯人は、純正のアッパーマウントであることが、判明しました。
要するに、大きなコーナリングフォース(ヨコG) が発生すると、ゴムのブッシュである 純正のアッパーマウントが変形して、ダンパーの装着ポイントが、外側に動くのです。
ここが外側に動くと、キャンバーが減る方向となるため、タイヤの 「外あたり」 が発生し、 有効な接地面が確保されず、このことが原因で、アンダーステアも強まっていたのです。 もちろんこの症状は、大きなコーナリングフォースが、発生すればするほど、 キャンバーが減少しますので、悪化の一途をたどります。
TM-SQUARE ピロアッパーマウントは、ゴムブッシュ製の純正アッパーマウントを、
変形しないアルミブロックとし、内部にピロポールを装着しました。
アッパーマウントが動かないことにより、コーナリングフォースによって、ダンパーの
装着ポイントも動くことが回避でき、走行中にキャンバーが減る症状が大きく抑制されます。
結果、コーナリング中に、タイヤの接地面が確保され、「外あたり」も防止され、
アンダーステアも減少します。もちろん、走行中にキャンバーが変化しないことから、
イニシャルのキャンバー値を少なく設定することも可能です。
また、ゴムブッシュである純正のアッパーマウントは、ダンパーストロークにも悪影響を及ぼします。
たとえば、ギャップへの乗り上げや、荷重移動により、サスペンションはストロークしますが、
ダンパーが動く前に、純正アッパーマウントのゴムブッシュが先に変形してしまうと、
サスペンション全体としてはストロークしているものの、ダンパーは動いていないということが、
発生してしまいます。
そして、その後、ゴムブッシュが変形し終わると、唐突にダンパー/スプリングのストロークが始まりますが、この時に発生する 「唐突な硬さ」 は、タイヤグリップをうまく引き出せないだけではなく、乗り心地にも、乗り味にも、大きく影響します。
TM-SQUARE ピロアッパーマウントは、コーナリングフォースに対して、キャンバーが戻されないこと。そして、ストロークの初期段階から、スプリング/ダンパーがシッカリ動くこと。この2つのメリットにより、リニアでダイレクトな、レスポンスの良いステアリングフィールを生み出します。
反対に、デメリットは、タイヤの走行ノイズや、サスペンションの上下動により発生するノイズを吸収できないことです。純正のアッパーマウントでは、サスペンションとボディーの間に、ゴムブッシュが存在するため、これらのノイズの大部分を吸収しますが、TM-SQUARE ピロアッパーマウントは、アルミブロック製ですので、これらのノイズを純正アッパー並みに、吸収することができません。
※ 本製品は、2013年7月に、モデルチェンジが行われ、名称が TM-SQUARE ピロアッパー (ML) と変更されました。また、同時に品番/価格も、変更になりました。最大の変更点は、旧製品は、装着により、車高が7mm 上がりましたが、現行製品は、内部構造を見直したことで、装着による車高の変動がありません。
よって、装着後のスプリングのプリロード調整 および、車高調整が不要となりますので、装着がとてもカンタンです。
なお、車高調整ができないタイプのダンパーでも、装着後に車高が上がることがありません。
※ 本製品は、ダンパーのアッパーシート上部がフラットなタイプには、専用のカラーが必要となります。