エンジンオイル K14C
TM-SQUARE 「K14C」エンジンオイルは、スイフトスポーツZC33S 専用設計のエンジンオイルです。2種類の炭化水素油(PAO)と、エステル油にて形成された100%化学合成のベースオイルにて、低粘度でありながら強靭な油膜を維持し、K14Cエンジンのウィークポイントとなるスポーツドライビングにおける油圧低下を大幅に抑制します。 また、ダウンサイジングTURBOには必要不可欠の「LSPI」対応の添加剤構成により、K14Cエンジンに完全適合するエンジンオイルです。
スイフトマニアが、K14Cエンジンのために作ったTM-SQUAREエンジンオイル「K14C」。
ぜひ、ご堪能下さい!
スイフトスポーツ史上、初のTURBOエンジン搭載モデルとなったZC33S。非常に高出力でありながらコンパクト設計のK14Cエンジンは、高いパフォーマンスを誇る反面、スポーツドライビングにおいて少々不安な一面があります。それは、サービスマニュアルの表記では 3.3L(オイルフィルター交換時)という非常にマージン設定の低いエンジンオイルの容量です。
下のグラフを見てください。
このグラフは、純正オイルを既定量(オイルゲージのアッパーレベル)注入し、FSWショートコースをスイフトスポーツZC33Sにて走行したときのDATAロガーを1Lapのみ切り取ったものです。
青ライン 車速(スピード)
緑ライン エンジン回転数
赤ライン 油圧
黒ライン アクセル(アクセル開度)
使用オイル 純正オイル(5w-30)
オイル量 既定量(オイルゲージのアッパーレベル)
注目いただきたいのは、油圧(赤ライン)のロガーです。
K14Cエンジンの場合、オイルポンプは、クランクシャフトの回転から動力を得ていますので、通常、エンジン回転数が高い状況 ① での油圧は高く、反対にエンジン回転数が低い状況 ② での油圧は低くなります。しかし、グラフ内 ③ の部分では、エンジン回転が高く、アクセル全開という高負荷の状態にも関わらず、油圧が大きく下降するという非常にシリアスな状況が発生しています。
この油圧低下の原因は、マージン設定の低いエンジンオイル容量により、コーナリング時にオイルパン内でオイルが片寄り、オイルポンプが空気を吸い込むことが原因です。
また、この油圧低下は、粘度の高いオイルを使用するほど、症状が悪化することが開発を進めることで明確となりました。理由は、エンジンオイルの粘度が高いと、エンジン各部にデリバリーされたオイルが、再びオイルパンに戻るまでのスピードが遅く、そのタイミングに、オイルパン内の油量が不足し油圧低下が発生するからです。
この重大な潤滑トラブルへ直結する油圧低下こそが、K14Cエンジンの大きなウィークポイントとなります。
TM-SQUARE が考える K14C エンジン に適合するエンジンオイルの条件は、以下の相反する2つの特性です。
① エンジンオイルがオイルパンに戻るまでのスピードを向上させること
② 高温/高負荷時も、強靭な油膜にてシッカリ安定した油圧をかけられること
まず、継続してオイルパン内にオイルを維持するには、オイルポンプにより各潤滑部にデリバリーされたエンジンオイルが、素早くオイルパンに戻る必要があり、そのためにエンジンオイルは、流動性の高い低粘度タイプでなくてはなりません。
しかし、一般的な低粘度タイプでは、スポーツ走行等、高温/高負荷の状況にて、安定した高い油圧を発生させることが苦手です。
そこで、TM-SQUAREがZC33S専用エンジンオイルに求めた性能は、低粘度でありながら、高温/高負荷の状況では、一定レベル以上の粘度を維持し、安定した高い油圧をかけ続けられるという特性となります。要するに、低粘度オイルでありながら、高温/高負荷時では、高粘度オイルと同様の特性を求めたのです。
また、この特性を実現するためには、ベースオイルの構成が非常に重要となることを開発作業にて学びました。そこで、コストを度外視し非常に高価な炭化水素油(PAO)& エステル油 にて、分子量の組み合わせを変化させ、試作油を作り続けました。そして、長期間の開発の結果、ZC33S に適合する、粘度と油圧のバランス(低粘度でありながら強靭な油膜で高い油圧を維持する)を見つけ出すことができたのです。
最終的な仕様は、2種類の炭化水素油(PAO)と、エステル油にて形成された100%化学合成のベースオイルにて、低粘度かつ強靭な油膜にて、K14Cエンジンのウィークポイントとなるオイルの片寄りによる油圧低下も、高負荷時の油圧低下も大幅に抑制することを可能としました。
青ライン TM-SQUARE K14C エンジンオイル(5w-30)
赤ライン 純正オイル(5w-30)
最上段 エンジン回転数
2段目 Gフォース(左右)
3段目 油圧
4段目 油温
最下段 アクセル開度
ベースオイルには、2種類の炭化水素油(PAO)と、エステル油にて形成された100%化学合成油を使用しています。
PAOを採用した理由は、2つ。
まず、PAO特有の低温流動性により、低温域での粘度を低粘度化するためです。
そして、もうひとつは、分子量の組み合わせに対する自由度が非常に高いことから、ピンポイントに限定された条件(専用油等)に合わせ込むことが可能となるためです。
また、エステルを採用した理由は、高い粘度指数にて、低温から高温までオイルの粘度変化を可能な限り抑制したいこと、そして、モリブデンとの相乗効果を最大限に活用するためです。また、使用したエステルは、モリブデン添加剤との相性が良い「極性の低いタイプ」となります。
ダウンサイジングTURBOエンジンにおいて、低速高負荷での運転時にLSPI(Low Speed Pre Ignition/ロースピードプレイグニッション)と呼ばれる異常燃焼が確認されています。原因は、オイル上がりにて燃焼室に侵入するオイルが起点となるケースが確認されており、これはオイルに配合される一部の添加剤成分が原因と特定されています。
そこで、TM-SQUARE 「K14C」エンジンオイルでは、この異常燃焼に関与する添加剤の量と種類を最適化し、LSPI対策を行っていますので、安心してダウンサイジングTURBOエンジンへの使用が可能となります。
TM-SQUARE 「K14C」エンジンオイルには、LSPI対策 添加剤だけではなく、以下の添加剤群が、K14Cエンジンに最適な量にて配合されております。
有機モリブデン
金属同士が激しく擦れ合う境界潤滑領域で、ハイレベルな潤滑被膜を形成することによって、強力な潤滑を行ってくれるのがモリブデン化合物です。有機モリブデンは、境界潤滑領域で二硫化モリブデンへと変化しガッチリ金属表面に潤滑被膜を形成します。
清浄分散剤
エンジンオイル内には、酸化を受けて発生する酸化物や、燃焼によって発生した蒸気、亜硫酸ガス、窒素酸化物によって生成された炭化物が混入します。これらは、やがてスラッジとなり、エンジン各部に付着します。そこで清浄剤により、錆びや腐食の原因になるこれらの酸化物質を中和します。また、分散剤により、スラッジ等を包み込みオイル内に浮遊させ、底に沈まないようにします。
耐磨耗剤
エンジン内部には、ピストンリングとシリンダー等、金属と金属が接触する部分が多く、磨耗が促進されます。そこで、Zn DTP と呼ばれる磨耗防止剤により、各部品の磨耗を大幅に抑制してくれます。
流動点下降剤
超低温域(-20℃以下)での流動性を向上させるために、処方される添加剤です。
寒冷地でのエンジンスタートを容易にします。
酸化防止剤
エンジンオイルにとって冷却はとても重要な性能です。常温から120~150℃まで、エンジンオイルの温度は変化しますので、高温域では、酸化を受け、酸化生成物を生じます。これらの酸化防止に効果のある添加剤が配合されています。
消泡剤
空気が存在する条件下で、エンジンオイルが激しくかき混ぜられると泡を生じます。この泡が原因で油圧が下がり、エンジン各部に送られる油量が減少し多くの問題が発生します。そこで、ジメチルシリコーンをはじめとするオイルに溶けない消泡剤を配合することにより、気泡が割れやすい環境を作り、安定したオイルの供給を可能としました。
粘度指数向上剤
常温から超高温まで、粘度変化が少ない(粘度指数が高い)状況でエンジンオイルを長期間安定して使用するため、極々少量の粘度指数向上剤(ポリマー)が使用されています。
K14Cエンジンのエンジンオイル容量は、サービスマニュアルの表記にて、3.3L(オイルフィルター交換時)となっていますが、実際にオイルゲージのアッパーレベルに合わせると約3.5Lのオイルが必要となります。
また、TM-SQUARE が行った数々のサーキットテストにおいて、オイルゲージのアッパーレベルまでオイルを注入しても、右から左へ大きく「G」が変化する状況では、油圧が急激に落ち込む症状が発生しました。そこで、アッパーレベルから、エンジンオイルを0.1L単位で追加し、どの油量ならこの油圧低下が発生しないかを徹底的にテスト行ったところ、オイルゲージのアッパーレベルから、さらに0.4Lエンジンオイルを追加すると、油圧低下は一切発生しないという結果が出ました。
要するに、オイルゲージのアッパーレベルの油量では、十分ではなく、アッパーレベルから0.4Lエンジンオイルを追加した油量が、ZC33Sに必要な油量であることが、TM-SQUARE の見解です。そこで、TM-SQUARE 「K14C」エンジンオイルは、こだわりの容量3.5L + 0.4L = 3.9L にて販売を行います。
もちろん、3.9Lを注入することで、オイルが燃焼室内に入り白煙が出る等のトラブルがないかは、事前にテストして問題がないことを確認しておりますので、オイル交換時は、オイルフィルターも同時に交換いただき、全容量となる3.9Lをすべてご使用下さい。
エンジンオイルが劣化するのは、「粘度低下による劣化」と、「酸化による劣化」です。
「粘度低下による劣化」 --> サーキット走行により、急激に劣化が進む
「酸化による劣化」 --> ストリートでの走行距離に比例して劣化が進む
K14Cエンジンは、直噴であることから、ガソリン希釈による粘度低下、ならびにカーボンのオイル混入によるオイルの汚れから、ポート噴射のエンジンより少し早目のエンジンオイル交換が望ましいと考えられます。
TM-SQUARE が推奨するオイル交換のライフサイクルは、以下のとおりです。
K14C エンジンオイルのライフサイクル
サーキット走行 | ストリート走行 | ||
---|---|---|---|
一日の走行セッション | 油温 | 走行日数 | |
走行なし | 約 8,000km | ||
30分 × 3回( 90分) | 110℃~125℃ レベル | × 2日 | + 約 2,000km |
30分 × 3回( 90分) | 110℃~125℃ レベル | × 1日 | + 約 5,000km |
30分 × 5回(150分) | 110℃~125℃ レベル | × 1日 | + 約 4,000km |
※ 上記シミュレーションは、エンジンオイル交換時期のひとつの目安であり、明記されたサーキットの走行回数、ストリートでの走行距離を保証するものではありません。
※ 上記シミュレーションは、エンジンオイルを オイルパン ドレンプラグ より抜き(全量交換)、同時に、オイルフィルターも交換された場合の交換サイクルです。全量交換できず、交換前のエンジンオイルが、新油に混入する場合は、表記よりライフは短くなります。(エンジンオイルをドレンプラグから抜き、オイルフィルターを交換されても、エンジン内に、残留する微量のオイルに関しては、想定されています)
※ 上記シミュレーションは、TM-SQUARE エンジンオイル をご使用になる前に、メタル、ピストン、シリンダーをはじめとする 各摺動部に、ダメージがないことを想定したライフとなります。少しでも、ダメージを受けている可能性があれば、表記より、早めに交換を行ってください。
※ ストリートとサーキットを併用する場合、
① 交換直後にサーキットで使用し、その後ストリート
② 交換後、ストリートで使用し、最後にサーキット
では、②の方が、エンジンオイルにとっては厳しい条件となります。
エンジンオイルの交換タイミングは、サーキット走行前が、望ましいです。
※ サーキットでは、一切使用しない場合でも、ワインディング等にて、スポーツドライビングをされる方は、表記より、早めに交換を行ってください。(5000~6000kmが目安です)。
※ ストリート/サーキットとも、交換後1年以上が経過している場合は、上記ライフ内の状況でも、オイル交換を行ってください。
ライフに関しては、距離だけで考えるのではなく、エンジンに負担のかかる走行をしたときは、表記のライフサイクルより、少々早目に交換というパターンがオススメです。
関連パーツ
以下のオプションパーツは、エンジンオイルと同時購入される場合のみ、販売が可能となり、
単品での販売は行っておりません。