エンジン
ECU テスト報告 in 富士スピードウェイ ④
2009年09月08日(火)
今日は、エンジンの出力特性の
話をしたいと思います。
よく、エンジンの優劣を決めるため、
出力(パワー)が、表記されていますよね。
もちろん、
150 ps と 140 ps なら、
当然ですが、最高出力は、
150 ps の方が、上です。
でも、サーキットで、
ラップタイムが速いのは、
必ずしも、150 ps のエンジンとは、
限りません。
またまた・・・、と思われるかも
しれませんが、事実です。
では、カンタンに説明しましょう!
もし、これらのエンジンが、
下のグラフのように、
全域で、150 ps のエンジンの方が
勝っているなら、
150 ps のエンジンの方が、
ラップタイムは速くなります。
しかし、下記のグラフのような、
出力特性になれば、
140 ps のエンジンの方が、
ラップタイムが速くなるのです!!
理由は、最高出力に
なるまでの過程にあります。
図のように、
4000 ~ 5500 rpm では、
140 ps のエンジンの方が、
150 ps のエンジンより、
出力にアドバンテージがあります。
「その代わり、高回転域では、
150 ps のエンジンの出力が
逆転しているので、互角じゃないか!」
という、意見が聞こえてきそうですが、
それでも、
140 ps のエンジンの方が、
ラップタイムが速いのです。
なぜなら、そこには、
「到達スピード」 という
考え方が、存在するからです。
たとえばですが、
グラフのエンジンを搭載した
2台のクルマが、同じスピードで
コーナーをクリアーしたとしましょう。
そして、
150 ps のエンジンの回転が、
図のA点まで上がったとしましょう。
このとき、
コーナーの出口からこの地点まで、
出力にアドバンテージがある、
140 ps のエンジンでは、
同じタイミングでも、
A点よりも、少し回転が高い、
B地点に到達しているのです。
(もちろん、スピードも少し高くなっています)
この領域で、回転が少しでも高いと、
グラフでわかるように、
パワーも上がります。
この相乗効果により、
140 ps のエンジンは、
どんどんスピードを
のせていくのです!!
結果、2台のクルマが、
同じスピードになるまでに、
140 ps のエンジンは、
大きなアドバンテージを築くことから、
ラップタイムを短縮することが
出来るのです。
もし、ストレートが、3km 続くなら、
この状況は、逆転し、
150 ps のエンジンを
搭載したクルマの方が速くなります。
しかし、加速している途中で、
次の減速がある、サーキットでは、
最高出力より、出力特性の方が
ラップタイムには重要なのです。
ちょっと、複雑ですが、
ご理解いただけましたか?
エンジンの出力特性って、
奥が深いでしょ??
次回は、
ECU テスト報告 in 富士スピードウェイ
の最終回です。