ホイールの剛性が、重要な理由
2010年02月19日(金)
今回から、2回に分けて、
ホイール剛性の重要性のお話を。
(これを理解できれば、ホイール博士です!)
以前、GT500の開発テストで、
BBS製ホイールと、
他社製ホイールの比較テストを
見たことがあります。
このテストでは、
まったく同じタイヤを装着して、
ホイールだけの比較テストを行っていたのですが、
アウトラップもベストラップも、すべてのラップで
コンマ5秒、BBS製ホイールが速いという
結果が出たことがありました。
もちろん、BBS製ホイールの方が、
軽いというアドバンテージはあったのですが、
ドライバーのコメントは、
加速や、ブレーキングといった、
軽量によるメリットではありませんでした。
ドライバーは、
「グリップに安定感がある」 と言います。
タイヤは、まったく同じなのに・・・・・。
この安定感の根源、
これこそ、ホイール剛性によるものでした。
ブレーキング、トラクション、
そして、コーナリングフォース(Gフォース)により、
タイヤが変形するように、
ホイールも、タイヤの強力なグリップ力により、
変形します。
では、下の図を見て下さい。
このホイールの変形(たわみ)は、
車輌にホイールナットで装着されている
ハブ部(A)では、ほんの少しでも、
ハブから遠くなるに従って、
大きくなります。
特に、剛性の低いホイールでは、
ハブ部から、一番距離のある、
リム部(C)は、大きく変形することになるのです。
もちろん、このリム部は、
タイヤが装着されている部分であり、
ここが変形することにより、
コーナーでタイヤを安定して
接地させることができなくなってしまいます。
結果、コーナリング中、
「グリップに安定感がある」 というコメントになるのです。
また、この変形は、
ドライバビリティにも大きな影響を与えます。
なぜなら、高速コーナーをはじめ、
ドライバーがミリ単位で
ステアリングを切ったとき、
ホイールが、勝手に変形し動いていたら、
クルマは、ドライバーの意思どおり
動いてくれないからです。
また、スポークやリムが変形すると、
コーナーでタイヤを
確実に接地させるために必要な、
キャンバー角をはじめとする、
アライメントのセットアップも
大幅に変わってくるのです。
では、次回は、
キャンバーが付いているときの
ホイール剛性のお話を!