ホイール剛性の重要性
以前、GT500の開発テストで、BBS製ホイールと、他社製ホイールの比較テストを見たことがあります。
まったく同じタイヤを装着して、ホイールだけの比較テストを行っていたのですが、アウトラップもベストラップも、
すべてのラップでコンマ5秒、BBS製ホイールが速いという結果が出ました。
もちろん、BBS製ホイールの方が軽いというアドバンテージはあるのですが、ドライバーのコメントは、
加速やブレーキングといった、軽量によるメリットではありませんでした。
ドライバーは、「グリップに安定感がある」と言います。タイヤは、まったく同じなのに・・・・・。
この安定感の根源、それは、ホイール剛性によるものだったのです。
ブレーキング、トラクション、そしてコーナリングフォース(Gフォース)により、タイヤが変形するように、
ホイールも、タイヤの強力なグリップ力により、変形します。
では、下の図を見て下さい。
この変形(たわみ)は、車輌にホイールナットで装着されているハブ部(A)では、ほんの少しでも、
ハブから遠くなるに従って、大きくなります。特に、剛性の低いホイールでは、ハブ部から、一番距離のある、
リム部(C)は、大きく変形することになるのです。
もちろん、このリム部は、タイヤが装着されている部分であり、ここが変形することにより、
コーナーでタイヤを安定して接地させることができなくなってしまいます。
結果、コーナリング中、「グリップに安定感がある」 というコメントになるのです。
また、この変形は、ドライバビリティにも大きな影響を与えます。
なぜなら、高速コーナーをはじめ、ドライバーがミリ単位でステアリングを切ったとき、
ホイールが、勝手に変形し動いていたら、クルマは、ドライバーの意思どおり動いてくれないからです。
また、スポークやリムが変形すると、コーナーでタイヤを確実に接地させるために必要な、
キャンバー角をはじめとする、アライメントのセットアップも大幅に変わってくるのです。
では、キャンバーが付いている状態での、ホイールの断面図を見てください。
図からわかるように、特にリム部(C)では、ハブ部から距離があるだけではなく、
キャンバー角が付いていることから、かなり大きな力がかかります。
高剛性のBBSホイールは、ベースになる、ホイール全体の剛性を最大限まで引き上げるだけではなく、
このリム部(C)の剛性が、他社製品と比べて、圧倒的に高いことが、最大の特徴です。
結果、BBSホイールは、タイヤの接地面を確実に確保することから、ラップタイムを削り取り、
究極のドライバビリティを生み出すのです。