少し前の話になりますが、FFのレーシングカーは、GrAからJTCCへと、大きな進化を遂げた時代があります。その中でも、一番激変したことは、リアサスペンションの剛性です。FFはタイヤの消耗とともに、どうしてもアンダーステア傾向が強くなる特性を持っており、GrAではフロントサスペンションを中心に、アンダーステア対策が行なわれていました。しかし、完全な解決策がないまま、時代はJTCCへと突入します。
そして、JTCCで大きな進化があったのです。それは、リアのスタビライザーを大幅に強化し、コーナリング時、アクセルオンでのロール量を大幅に減少させる、といった手法でした。
FFのアンダーステアは、コーナー出口で増大する傾向があります。これは、コーナリング中のアクセルオンで「外側のリアタイヤ」に荷重が移り、対角線上にある「内側のフロントタイヤ」が浮き上がり、接地が弱くなってしまうからです。そうです、このことが原因で、アンダーステアを誘発していたのです。
そこで、リアのスタビライザーを強化し、リアのロール量を抑制。これでフロント接地を確保する、といったセットアップが主流となり、ほとんどの車輌で採用されました。このセットアップにより、クリッピングポイント付近から、フロントの接地感が薄れることなく、安定したグリップを発揮するようになったのです。また、トラクションに影響することなく、コーナリング時のロール剛性が上がったことから、高速コーナーが速くなり、ラップタイムも大幅に向上しました。
TM-SQUAREのトーションビームは、この手法を採用し、リアサスペンションのロール剛性を上げるため、純正では交換ができないリアスタビライザーを交換できるように改良を加えました。そして、剛性の違う4種類のスタビライザーからのチョイスを可能とし、サーキットレイアウトや、セットアップに合わせて、リアのロール剛性を変更できる仕様としました。これで、コーナリング中の減速区間も加速区間も、安定したフロントグリップが確保できますので、ドライバビリティが大幅に向上します。そうです、FFのサスペンションは「リアが命」なのです。
TM-SQUAREトーションビームの製作は、JTCCのスペシャリスト、Mライン代表の望月氏に依頼しました。職人が作る生粋のレーシングテイストを体感して下さい。
※本製品は、ZC31S専用になります。
ZC31S用 トーションビーム&スタビ