添加剤
① 有機モリブデン
金属同士が激しく擦れ合う境界潤滑領域で、ハイレベルな潤滑被膜を形成することによって、強力な潤滑を行ってくれるのが、モリブデン化合物です。有機モリブデンは、境界潤滑領域で、二硫化モリブデンへと変化し、ガッチリ金属表面に潤滑被膜を形成します。
② 清浄分散剤エンジンオイル内には、酸化を受けて発生する酸化物や、燃焼によって発生した、蒸気、亜硫酸ガス、窒素酸化物によって生成された炭化物が混入します。これらは、やがてスラッジとなり、エンジン各部に付着します。そこで、清浄剤により、錆びや腐食の原因になるこれらの酸化物質を中和します。また、分散剤により、スラッジ等を包み込み、オイル内に浮遊させ、底に沈まないようにします。
③ 耐磨耗剤エンジン内部には、ピストンリングと、シリンダー等、金属と金属が接触する部分が多く、磨耗が促進されます。そこで、Zn DTP と呼ばれる磨耗防止剤により、各部品の磨耗を大幅に抑制してくれます。
④ 流動点下降剤超低温域(-20℃以下)での流動性を向上させるために、処方される添加剤です。
寒冷地でのエンジンスタートを容易にします。
エンジンオイルにとって、冷却はとても重要な性能です。
常温から、120~150℃まで、エンジンオイルの温度は変化しますので、高温域では、酸化を受け、酸化生成物を生じます。これらの酸化防止に効果のある添加剤が配合されています。
空気が存在する条件下で、エンジンオイルが激しくかき混ぜられると、泡を生じます。この泡が原因で、油圧が下がり、エンジン各部に送られる油量が減少し、多くの問題が発生します。そこで、ジメチルシリコーンをはじめとする、オイルに溶けない、消泡剤を配合することにより、気泡が割れやすい環境を作り、安定したオイルの供給を可能としました。
⑦ 粘度指数向上剤常温から超高温まで、粘度変化が少ない(粘度指数が高い)状況でエンジンオイルを長期間安定して使用するため、極々少量の粘度指数向上剤(ポリマー)が使用されています。