ピークパワー重視のエキマニと、低→中速回転域重視のエキマニ
ピークパワー重視のエキマニと、低→中速回転域重視のエキマニ。
まず、最初に言っておきたいことがあります。
それは、田中にとって、エキマニ は、エンジンのピークパワーを向上させる道具ではないということです。
では、田中が理想とするエキマニ は、何をメリットとしているか。。。
それは、ピークパワーより、もっと、もっと下の回転域で、いかにパワーを出せるかが、エキマニ の生命線だと思っています。
だって、ピークパワーも、最大トルクも、エンジン本体の設計で、ほぼ決まっているのに、それを排気だけで、ピークパワーを狙うと、必ず 低→中速回転域に、シワ寄せがくるからです。
下のグラフを見て下さい。
黒のラインは、純正 エキマニ。
青のラインは、ピークパワーを狙った エキマニ のパワー曲線をイメージしてみました。
もちろん、ここからは、好き嫌い の話ですが、
「高回転で、パンチが欲しい!」 とか、
「途中でパワーが急激に上がってくるのが好き!」 とか、
「とにかく、最大パワーを上げたい!」 といった、ニーズの方には、
間違いなく、青ラインの エキマニ が、マッチングします。
でも、田中が欲しい、エキマニ は、グラフで書いたら こんな感じです。
黒のラインは、純正 エキマニ。
ピンクのラインが、田中が理想とする エキマニ です。
言葉で表すとすれば、
「低→中速回転域のトルクが太い」 とか、
「低→中速回転域で、トルクの谷がない」 とか、
高回転域での伸び以上に、低→中速回転域でのトルクが太く、ピークを下の回転域に振ったタイプの エキマニ です。
では、なぜ、このタイプの エキマニ が、田中は好きか。。。
そもそも、ピークパワーは、エンジン本体の設計で、ほぼ決まっているのですから、エキマニの優位性をピークパワーの出る、一部の回転域に合わせるのではなく、比較的広範囲となる、ピークになる前の回転域に合わせた方が、メリットが多いと考えるからです。
そして、その最大のメリットとは、 「ラップタイムが速いこと」 なのです!
「えっ~、ラップタイムは、ピークパワーが高いエンジンの方が、速いんじゃないの~?」
という声が聞こえてきそうですが、田中ミノル式 エキマニ活用方法は、ちょっと違います。
では、以下のパワーグラフを見てください。
このグラフは、最高パワーに、焦点を合わせた エキマニ のパワーグラフ(青色) と、
最高パワーより、下の回転に焦点を合わせた エキマニ の パワーグラフ(赤色)比較です。
(画像は、イメージです)
まず、ストレートの走行を想定し、比較してみましょう。
ストレートですから、どんどん上のギアにシフトアップ しますよね。たとえば、7800rpm になったら シフトアップし、そして、上のギアに入ったら、5200rpm からスタートするというギア比を仮定します。
(回転は、5200rpm ⇔ 7800rpm 間にあると仮定します)
パワーの数値を比較すると、
5200rpm 付近では、
赤ライン 約 80PS
青ライン 約 70PS
その差、約 10PS 赤ラインが上回っており、
最高出力となる、7800rpm では、
赤ライン 約 100PS
青ライン 約 110PS
その差、約 10PS 青ラインが上回っています。
この場合、赤ラインは、5200rpm にて、+10PS 7800rpm では、-10PS
青ラインは、5200rpm にて、-10PS 7800rpm では、+10PS となり、
お互いに メリット/デメリットがありますので、加速は互角でしょうか?
田中は、赤ラインの方が、速いと思います。
理由は、最高出力時、赤ラインのエキマニが、約 100PS 青ラインのエキマニが、約 110PS なのですから、
その差は 約10%
対して、5200rpm 付近では、
赤ラインのエキマニが 約 80PS 青ラインのエキマニが 約 70PS なので、
その差は、約14% となります。
そうです、パワーが低い状況の 10PS と、最高パワー付近での 10PS では、割合が違うんです・・・・・。
ですから、同じ加速とはならないと、田中は思います。
ここまでは、比較的エンジンの回転域が高い ストレートでの話です。
でも、これが、4000rpm まで回転が落ちてしまう ヘアピン立ち上がりだったらどうでしょう?
ご存知のように、タイトコーナーの立ち上がりでは、ハンドルをガッツリ切った状態でアクセルを踏み、立ち上がりの縁石に向かいます・・・・。
ということは、クルマはかなり重い(抵抗のある)状況です。
もちろん、この回転域なら、圧倒的に、赤ラインにアドバンテージがありますので、縁石までの加速は、赤ラインの方が、速いということになります。
おまけに、赤ラインの方が、加速が良いということは、縁石手前の同じ場所での回転も、高くなります。
この回転域では、回転が上がるにつれて、パワーも上がる状況ですので、同じタイミングにて使用している回転が違うと、この2台のパワー差は、より大きくなっていることになるのです。
それから、まだあります。
サーキットでは、必ず高回転まで引っ張ったところに、減速区間が来るとは、限っていません。
時には、シフトアップして、最高回転になる前に、減速区間がやってくることもあります。
こうなると、高回転にて、出力のアドバンテージがある、青ラインは、メリットを発揮できない状況が存在するのです。
いかがでしょう?
かなり細かい話になりましたが、これらの要因をトータルで考えると、やはり、ピークパワー少し高いこと以上に、ピークパワーの手前に、しっかりパワーのあるエンジン特性の方が、有利だと、田中は思えます。
そして、この特性こそが、田中ミノル式 ラップタイムを短縮できるエンジン特性なのであります。
もちろん、この特性の方が、ストリート & ワインディング においても、大きなメリットになることは、言うまでもありませんよね~。
「350PS より速い 300PS がある」
レースの世界では、よく使われている言葉です。