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ダンパーに求められる性能は、時代とともに確実に進化しました。そして、田中ミノルが考える、ダンパーに求められる最先端の性能とは、ダンパーとスプリングの分業化です。カンタンに説明すると、ロールやピッチングといった荷重変化に対しては、すべてスプリングで対応し、ストロークのスピード、特に縮み始めや伸び始めの部分で、リニアに減衰を立ち上げることがダンパーの仕事と考えています。また、縁石やギャップといったピストンスピードの速い入力に対しては、可能な限り大きな減衰を立ち上げないことが重要です。この特性を実現するために、内部構造の中で、特に重点を置いたのは、「ローフリクション」であること。ダンパーの動き始めに、抵抗がなければ、リニアに減衰が立ち上がり、ピストンスピードが速いときでも、突っ張り感が、排除できるのです。この「バネ成分が少ないダンパー」といった特性は、サーキットでは、タイヤの急激な変形を抑制し、グリップを最大限に使用でき、ストリートでは乗り心地が大きく改善されるのです。

TM-SQUARE ダンパーキット Type TD は、ダンパーシャフトが、動き始めるとき、いかにスムーズに、抵抗なく動き始めるかに、こだわりを持ち、専用設計としたピストンバルブをはじめ、シムの構成、ウェアリング、シール類を選別し、絶妙なクリアランスで組み上げています。 結果、ダンパーのバネ成分を限界まで抑制し、荷重はスプリングが受け持ち、スプリングの伸び縮みのスピードだけをダンパーが制御できるような、仕様としました。

この分業化により、一般的には、
「サーキットスペック ダンパー」 = 「ガチガチでストリートには不向き」
と考えられている常識を覆し、ストリートでもサーキットでも完全対応できるように、セットアップされています。

「本当に良いものは、ストリートにもサーキットにも適合する」このブレないポリシーと、 現役レーシングダンパーエンジニアとのコラボで実現したTM-SQUAREのダンパーキット Type TD。ぜひ、ご満喫下さい!



サスペンションの構成部品であるダンパー。
装着する、最大の目的は、タイヤのグリップを最大限に発揮させることと、ドライバビリティ(走りやすさ)を向上させることです。
では、そのために、ダンパーは、いったいどんな仕事をしているか、説明しましょう。

ダンパーの仕事は大きく分けて2つあります。

① スプリングの伸び縮みするスピードを制御する。
② 走行中のピッチングを抑制する。

「スプリングの伸び縮みするスピードを制御する」とは、コーナーでハンドルを切り込む手前から、コーナーの中で最大ロールするまで、スプリングをどんなスピードで縮ませるかを決定することです。

コーナーの入口近辺で、最大ロールにして、クルマの傾きを止めた状態で、クリップまで行くのか、それとも、クリップまで、徐々にロールを増やしながら、コーナーに進入するのかを決定します。
もちろん、加速や減速でのクルマの傾くスピードも、ダンパーの減衰力が決定しています。

また、ここでよく勘違いされるのは、ダンパーの減衰力でロール量を変化させようという考えです。

あくまでも、

スプリングレート  ロール量を決定させる
ダンパーの減衰  ロールスピードを決定させる

であるということを、よ~く覚えておいて下さいね。

「走行中のピッチングを抑制する」とは、カンタンに言うと、ギャップに乗り上げた後、いつまでも "フワフワ"とクルマの揺れが止まらない状態を、ダンパーの減衰力で安定させることです。

でも、この部分は、ノーマルカーとチューニングカーで、必要性が違ってきます。
ノーマルカーでは、使用するスプリングが、大径で、レートが低く、ストロークも大きいことから、ギャップに乗り上げると、ピッチングは発生してしまいます。

しかし、チューニングカーやレーシングカーでは、小径で、レートが高く、ストロークが短いため、ギャップに乗り上げた後、いつまでもクルマの揺れが止まらないようなことにはなりません。
「ホントに~?」 と思われるかもしれませんが、スプリングレートが高い、直巻きタイプでは、"フワフワ"する原因である、「固有バネ振動数」 が、通常使用域にリンクしないため、この症状は、発生しなくなるのです。

だから、スポーツ走行を目的に、装着された直巻きタイプでは、 ② 走行中のピッチングを抑制する。ということは、ダンパーの仕事として、受け持つ必要がないのです。

このように、ノーマルカーとチューニングカーでは、ダンパー減衰の必要性が、一部違います。

以前は、車高調と言うと、ノーマルに比べ、ストローク量が少なくなることから、その分、強い減衰が必要と考えられ、レースの世界でも、20年ぐらい前までは、バンプもリバンプも"ガチガチ"の時代がありました。

しかし、減衰力の高いダンパーを装着すると、どうしてもダンパー自体がバネ成分をもってしまいます。たとえば、スプリングレートは、10 Kgf/mmなのに、それに、ダンパーの減衰力から発生するレート、10 Kgf/mmが加わり、ある部分では、20 Kgf/mmになってしまうこともあるのです。

では、ダンパーの減衰力調整を利用して、「ロール量」 を変えるという、間違ったセッティングの話をしましょう。

もし、スプリングのレートではなく、ダンパーの減衰で、「ロール量」 を変えてしまうと・・・・・、

① ダンパーのストロークするスピードによって、減衰(スプリングレート)が変化する。
② ダンパーオイルの温度により、減衰(スプリングレート)が変化する。



といったダンパーの特性から、不都合が発生します。

①の場合、ダンパーは、ストロークするスピードが速いと、大きな減衰力が発生しますので、コーナーによってダンパー減衰を加味した全体のバネレートが変化してしまいます。

たとえば、ハイスピードコーナーでは、20 Kgf/mmのバネレートなのに、ロースピードコーナーでは、12 Kgf/mmになったり、コーナーの入口では、20 Kgf/mmのバネレートが、コーナーの中では、15 Kgf/mm になる、といったように変化してしまうのです。


②の場合、ダンパーは、ダンパーオイルの温度が高くなると、減衰が弱くなるという特性を持っていますので、同じコーナーの同じ場所でも、最初のラップでは、20 Kgf/mmだったものの、連続ラップで、ダンパーオイルの温度が上昇すると、15 Kgf/mm → 12 Kgf/mm と変化してしまうケースがあります。

こうなると、ダンパーのバネ成分を加味した、全体のスプリングレートが、状況により変化することから、タイヤにかかる荷重の増減もピーキーとなり、結局、タイヤのグリップがうまく使えなくなってしまいます。

もちろん、その時々で、スプリングレートが変化することから、ドライバビリティも、著しく低下してしまいます。


要するに、「ロール量」 が多いならば、「ロール量」 を決めるスプリングのレートを上げるべきです。そうすると、どこのコーナーでも、コーナーのどの部分でも、荷重にリンクした、「ロール量」 となり、セットアップもシンプルで、ドライバーも動きを把握しやすくなります。

これをダンパーで行うと、あまりにも変化してしまう要素が多すぎて、セッティングもドライビングも複雑になるだけなのです。

ダンパーの減衰で、セットアップするのは、「ロール量」 ではなく、「ロールスピード」です。

スプリング   荷重の増減によって、"ロール量"を決定する
ダンパー    ロールのスピードを決定する


といった、完全分業が、一番シンプルで、ドライバーは荷重移動のインフォメーションが把握しやすく、タイヤのグリップを最大限に活用できるのです。

田中ミノルの思う、理想的なダンパーの条件は、2つ。

一つ目は、「スプリングの動きに悪影響を与えないこと」 です。

スプリングは、荷重に比例して、ストローク量(ロール量)を決定します。
この動きにダンパーが関与しないと、荷重の移動量に比例して、クルマが傾いてくれますので、ドライバーは、荷重の移動量が手に取るように把握できます。
要するに、「乗りやすい」 「限界がわかりやすい」 といったドライバビリティの高いクルマになり、セッティングの方向性も非常にシンプルになります。


二つ目は、「ダンパーが動き始めた瞬間から、シッカリと減衰力が立ち上がること」 です。

みなさんのイメージでは、ダンパーが動き始めるのは、ブレーキやコーナリングのアクションを起こした時ですよね。

でも、実際は、ずーっと、ダンパーは動いているのです。

下のグラフは、岡山国際サーキットの裏ストレート部分のデータロガーです。
小刻みですが、かなり、動いているのが理解できると思います。

ちょっと、見にくいですが、グラフ下の目盛りは、時間軸となり、一番小さな目盛りが、コンマ1秒となります。

グラフから読み取ると、だいたい、1秒間に7~10回、2mm程度、伸びたり縮んだりを繰り返していますよね?

ということは、ダンパーピストンも、1G状態から約2mm上下に動いているのですが、ピストンのシムの中に、オイルが通過していないダンパーって、結構多いんです。
要するに、ステアリングでいうところの 「遊び」 が発生しているということです。

こうなると、動きはじめの約2mmは、減衰が立ち上がらないダンパーとなり、走行中の微振動で、上下4mmの間は、減衰力がゼロとなってしまう場合があります。

この状態で、ギャップや荷重移動により、急にダンパーが大きくストロークすると、最大、動きはじめからの4mmの間、減衰力がゼロの状態となり、その後、急激に減衰が立ち上がってしまいます。また、減衰力がゼロだと、当然ダンパーのピストンスピードも上がってしまい、その後、シムの間にオイルが通過しはじめる瞬間、大きな減衰が突然発生してしまいます。

要するに、突っ張ってしまう、バネ成分の強いダンパーとなるのです。

反対に、最初の1mmに減衰があれば、途中で、減衰に大きな変化がありませんので、スムーズでしなやかな、スプリングと荷重の変化量に的確に応じる、リニアな足回りとなります。

これが、田中ミノルが求めている、理想的なダンパーなのです。

ダンパーに求められる、「スプリングと分業化するための減衰力」は、HYPERCOスプリングの登場で、大きく変化したと、田中ミノルは考えます。

なぜなら、HYPERCOスプリングが登場する前のスプリングは、縮み始めのレート特性が、規定レートより低いタイプが、主流だったからです。この、プログレッシブタイプに近い特性を持ったスプリングでは、同レートであっても0G →1Gまでのストローク量が、大きくなってしまいます。

下の図を見てください。

たとえば、スプリングレートの表記が、10kg/mmの2種類のスプリングがあったとしましょう。

これらのスプリングに、コーナーウエイトに相当する300kgの荷重をかけると、
①のスプリングは、最初から、10kg/mmのレートを発生していますので、

300kg÷10kg/mm = 30mm のストロークとなります。

対して、②のスプリングは、初期のレートが表記より低く、仮に縮みはじめ50mmまでの平均レートを6kg/mmとすると、

300kg÷6kg/mm = 50mm のストロークとなります。

そうです、この状態が、「1G」と呼ばれる状態です。


そして、②のスプリングも、50mm以上のストロークでは、表記どおり、10kg/mmのレートになると仮定すると、「1G」 から、荷重が増える分には、両スプリングとも、まったく同じ分だけ、荷重変化に対してストロークします。

が、しかし・・・、サスペンションは、縮むだけではありません。「1G」を境に、荷重によって、伸びたり、縮んだりします。そして、縮むことに関しては、①も②も同等の変化となりますが、伸びる部分では、大きな違いが発生します。


もし、コーナリングで、外側の荷重が300kg増え、内側の荷重が300kg減少したら・・・・・、
② のスプリングを装着している場合、コーナーに対して外側のスプリングは、「1G」から、30mm縮み、内側のスプリングは、「1G」から、50mm 伸び上がることになります。

そうです、1Gまでのストローク量の多い②は、荷重が少なくなった状況では、伸び側のストロークが大きくなってしまうのです。

これでは、間違いなく、②のドライバーの方が、ロールを大きく感じます。
この、ロールの大きさの原因は、外側のスプリングの縮み量ではなく、内側のスプリングの、伸び上がりが大きいことが、原因です。


この状況を抑制するため、ダンパーのリバウンド側の減衰を強くし、内側のスプリングの、伸び上がりを抑制するという、ダンパーセットが、以前は主流でした。

この強いリバウンドは、コーナーで、内側の浮き上がりを抑制することには、効果があるものの、S字コーナーのように、左右の荷重が交互に入れ替わったり、連続したギャップが続く部分等では、必ずデメリットが発生してしまいます。

しかし、HYPERCOスプリングの登場により、荷重移動によるスプリングの伸びと縮み量が同じとなることから、リバウンド側の強い減衰力は不要となりました。

結果、「スプリングとダンパーの分業化」が可能となり、また、リバウンド側の減衰力が、弱くなったことで、ストリートでの乗り心地も、大きく改善されたのです。

一般的な車高調整式ダンパーの場合、ストラットブラケットプレートを、長穴加工して、キャンバー調整を可能としていますが、この方法では、「Gフォース」 や、「縁石への乗り上げ」 等、大きな入力があると、簡単に “ズレ” が生じてしまいます。

そこで、TM-SQUARE のダンパーキットは、フロントキャンバーを調整式にするために、画期的なアイデアが採用されています。

それは、下図のように、上部の長穴部分に、キャンバーパッドと呼ばれるパーツを挟み込むのです。

このキャンバーパッドは、設定するキャンバー角に合わせて、穴位置の違う3種類(4通り)が設定されていますので、タイヤや、セットアップ、使用用途に合わせた、キャンバー角をチョイスすることが可能となります。

もちろん、長穴内でボルトが左右にスライドすることがないので、FF車のセッティングの「キモ」であるフロントキャンバーを、走行中の“ズレ”を発生させることなく、調整式としました。

※表記のキャンバー角は、車両の個体差、車高、ピロアッパーの有無によって、数値が異なる場合があります。

TM-SQUARE ダンパーキット Type TDは、フロント/リアともに、20段減衰力調整機能を採用していますので、調整ダイヤルにより、車輌のスペックや、使用用途、各サーキットに合わせて、減衰力を変化させることが可能です。

また、減衰力を調整するときは、一番締め込んだ状態から、何段階戻したかをデータ化して、セッティングに役立てて下さい。

ひとつの目安として、

サーキット  フロント 1戻し~10戻し   リア 5戻し~15戻し
ストリート  フロント 15戻し~19戻し  リア 15戻し~19戻し

が、推奨の調整範囲です。

また、TM-SQUARE ダンパーキット Type TDは、1way タイプですので、ダイヤルを回すと、バンプ側/リバンプ側ともに、減衰力が変化します。
(バンプ側/リバンプ側を個別に、減衰力調整することは、できません)


ダンパーエンジニア 高橋 和行 氏 プロフィール

【フロント】
・倒立式 全長調整タイプ
・モノチューブ
・20段減衰力調整機能付き
・キャンバー調整機能
・HYPERCO スプリング
(ID65でのフリーチョイス)
・専用ピロアッパーマウント
・ダストブーツ付き
【リア】
・正立式 全長調整タイプ
・モノチューブ
・20段減衰力調整機能付き
・HYPERCO スプリング
(ID60・ID65・オリジナルスプリングからの
 フリーチョイス)
・ダストブーツ付き


※車高調整レンチ、ピロアッパー専用工具 付属



ZC31S
ZC31S

 商品名 : ダンパーキット Type TD

 品番 : TMDP-N03311
 価格 : 375,000円(税込)
 適合車種 : ZC31S
 個数 

カゴに入れる

 商品名 : ダンパーキット Type TD
     F/R スプリングレス
 品番 : TMDP-N03315
 価格 : 339,000円(税込)
 適合車種 : ZC31S
 個数 

カゴに入れる

 ※本製品は、2019年6月27日に、「Type TD」へと仕様変更を行いました。




ZC32S
ZC32S

 商品名 : ダンパーキット Type TD

 品番 : TMDP-N03321
 価格 : 375,000円(税込)
 適合車種 : ZC32S
 個数 

カゴに入れる

 商品名 : ダンパーキット Type TD
     F/R スプリングレス
 品番 : TMDP-N03325
 価格 : 339,000円(税込)
 適合車種 : ZC32S
 個数 

カゴに入れる

 ※本製品は、2019年6月27日に、「Type TD」へと仕様変更を行いました。




ZC33S
ZC33S

 商品名 : ダンパーキット Type TD

 品番 : TMDP-N03331
 価格 : 380,000円(税込)
 適合車種 : ZC33S
 個数 

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 商品名 : ダンパーキット Type TD
     F/R スプリングレス
 品番 : TMDP-N03335
 価格 : 344,000円(税込)
 適合車種 : ZC33S
 個数 

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ダンパーキット Type TD 個別プライスリスト

すでに、HYPERCOスプリングや、ピロアッパーマウントを導入されている方に、
より、TM ダンパーキットを導入していただきやすいように、個別のプライスを設定しました。

構成品 価格(税込)
スプリング
(フロント)
スプリング
(リア)
ピロアッパー
マウント
ZC31S
ZC32S
ZC33S
¥375,000 ¥380,000
× ¥355,000 ¥355,000
× ¥357,000 ¥362,000
× ¥357,000 ¥362,000
× × ¥337,000 ¥337,000
× × ¥337,000 ¥337,000
× × ¥339,000 ¥344,000
× × × ¥319,000 ¥319,000

※TMダンパーは、HYPERCOの特性に合わせて、減衰設定を行っています。
 必ず、スプリングは、HYPERCOをご使用下さい。
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