サスペンション
ダンパー講座① ダンパーの仕事ってなに?
2010年03月24日(水)
サスペンションの構成部品であるダンパー。
TM-SQUARE のダンパーキットも、
発売直前ということで、ちょっと、ウンチクを
何回かに分けて、書きたいと思います。
ダンパーを装着する、最大の目的は、
タイヤのグリップを最大限に発揮させることと、
ドライバビリティー(走りやすさ)を向上させることです。
では、そのために、ダンパーは、
いったいどんな仕事をしているか、説明しましょう。
ダンパーの仕事は大きく分けて2つあります。
① スプリングの伸び縮みするスピードを制御する。
② 走行中のピッチングを抑制する。
「スプリングの伸び縮みするスピードを制御する」 とは、
コーナーでハンドルを切り込む手前から
コーナーの中で、最大ロールするまで、
スプリングをどんなスピードで縮ませるかを決定することです。
コーナーの入口近辺で、最大ロールにして、
クルマの傾きを止めた状態で、クリップまで行くのか、
それとも、クリップまで、徐々にロールを増やしながら、
コーナーに進入するのかを決定します。
もちろん、加速や減速でのクルマの傾くスピードも
ダンパーの減衰力が決定しています。
また、ここでよく勘違いされるのは、
ダンパーの減衰力でロール量を変化させようという考えです。
これは、間違った考えで、
あくまでも、
スプリングレート → ロール量を決定させる
ダンパーの減衰 → ロールスピードを決定させる
であるということを、よ~く覚えておいて下さいね。
そしてもうひとつの仕事、
「走行中のピッチングを抑制する」 とは、
カンタンに言うと、ギャップに乗り上げた後、
いつまでも、”フワフワ”とクルマの揺れが止まらない状態を、
ダンパーの減衰力で安定させることです。
でもね、この部分は、ノーマルカーとチューニングカーで、
必要性が違ってきます。
ノーマルカーでは、使用するスプリングが、
大径で、レートが低く、ストロークも大きいことから、
ギャップに乗り上げると、ピッチングは発生してしまいます。
だから、ダンパーの減衰によって、それを止めなければなりません。
しかし、チューニングカーやレーシングカーでは、
直巻きスプリングに代表されるように、
小径で、レートが高く、ストロークが短いため、
ギャップに乗り上げた後、いつまでもクルマの揺れが
止まらないようなことにはなりません。
「ホントに~?」 と思われるかもしれませんが、
スプリングレートが高い、直巻きタイプでは、
“フワフワ”する原因である、「固有バネ振動数」 が、
通常使用域にリンクしないため、この症状は、発生しなくなるのです。
だから、スポーツ走行を目的に、装着された
直巻きタイプでは、
② 走行中のピッチングを抑制する。 ということは、
ダンパーの仕事として、受け持つ必要がないのです。
このように、ノーマルカーとチューニングカーでは、
ダンパー減衰の必要性が、一部違うんですね~。