本当は、ADVAN A052 も、17インチでテストしたかったのですが、
サイズバリエーション がありませんでしたので、
上記のサイズにて、比較しました。
では、タイヤを各項目別に、比較してみましょう!
まずは、キャラクター から!!
① コンパウンドのキャラクター
ADVAN A052 → 密度が低い ソフトコンパウンド系
KUMUHO V700 → 密度が高い ハードコンパウンド系
まぁ~、一般的には、
ソフトコンパウンド = ハイグリップ といったイメージが強いですが、
これは状況によって逆転することも多々あります。
そう! 使用環境によっては、ソフトコンパウンドより、
グリップが高い ハードコンパウンド という状況も、存在するのであります。
② トレッド面の厚みに対するキャラクター
ADVAN A052 → ゲージと呼ばれる トレッド部が厚い
KUMUHO V700 → ゲージと呼ばれる トレッド部が薄い
これは、ちょっとマニアックな表現となりますが、
トレッド部(タイヤが路面と接してる部分)の厚みの比較となります。
この厚みの中には、
ベルトと呼ばれる構造が、ゴムでサンドイッチされている部分と、
タイヤのブロック(山)の部分があり、これらの厚みをトータルし、
ゲージと呼ばれます。
まぁ~、カンタンに表現するならば、
タイヤを輪切りにした時のトレッド部の厚みと言えば、
ご理解いただけると思われますが、いかがでしょうか?
そして、上記、①②にて、大まかなタイヤのキャラクターが決定します。
ADVAN A052 → 厚いゲージに、密度の低い ソフトコンパウンド
KUMUHO V700 → 薄いゲージに、密度の高い ハードコンパウンド
で、このキャラクターにより・・・・、
③ タイヤの温まりやすさ
これは、圧倒的に、ADVAN A052 にアドバンテージがあります。
まず、ゲージが厚いと、ゴムとゴムにサンドイッチされた
ベルト(構造部分)が動くことで発熱します。
ちなみに、レーシングカーのスタート前、フォーメーションラップ等で、
ジグザグ運転しているのは、この構造部分にヨレを発生させて
タイヤ温度を上げているんですよね~。
おまけに、ADVAN A052 は、
温まりやすい ソフトコンパウンド との組み合わせですから、
温まりに関しては、ADVAN A052 に、圧倒的なアドバンテージが、あるのです。
対して、KUMUHO V700 は、ゲージが薄く、ハードコンパウンド ですので、
特に、路温の低い冬場とか、路温の低いWETコンディションでは、
なかなか、タイヤが温まってくれません・・・・・・・・・・・・・・・・。
④ 低荷重でのグリップ
こちらも、圧倒的に、ADVAN A052 にアドバンテージがあります。
厚いゲージに、密度の低い ソフトコンパウンド の組み合わせですので、
やはり、低荷重には強いです。それぐらい、低荷重の状況では、
トリモチのような、ゴムのグリップが、有効なのだと思います。ハイ。
そう言えば、昨年、スイフトマイスター決定戦のスーパーラップにて、
ADVAN A052 が、強力なパフォーマンスを発揮したのは、
1) FSW ショート は、大きな荷重がかからない コースレイアウト!
2) 季節的に、とっても低い路面温度!
3) 十分にウォームアップができない スーパーラップ方式のタイムアタック!
といった、要因がバッチリと、ADVAN A052 にマッチングしたから、
だと田中は思います。
でも反対に・・・・・、
⑤ 高荷重でのグリップ
これは、KUMUHO V700 の方が、圧倒的に、◎ です。
薄いゲージに、密度の高い ハードコンパウンド
そして、とっても剛性のあるケーシング の組み合わせですから、
ドラテクにより、ガッツリとタイヤを上から押さえ付けて
高荷重の状況を作れるドライバーは、
剛性感ある 強烈なグリップを手に入れることができます。
そして、このグリップ感の凄いところは、
グリップする → もっと荷重がかかる → もっとグリップする → もっと荷重がかる・・・・・、
といたように、強烈な相乗効果にて、
ガッチリ とグリップして、まさに、オンザレール の状況となります。
そうです!
この相乗効果を発揮するには、
大きな荷重を受け止められる 「剛性」 が何よりも必要なのです。
だって、大きな荷重を受け止めることができれば、
その荷重は、大きなグリップになるのですから!!
対して、厚いゲージ & 密度の低い ソフトコンパウンド の
ADVAN A052 では、
グリップする → もっと荷重がかかる → タイヤがヨレる → グリップダウンする・・・・・、
といたように、トレッドの内部にヨレが発生することで、
大きな荷重をかけると、グリップダウンしてしまうのです。
よく、ドライバーコメントでは、
高荷重の状況で、「グニャグニャする」 とか、
荷重をかけ過ぎると、「タイヤがヨレる」 とか、
「トレッド部分が動く」 とか、
「温まるとレスポンスが悪くなる」
といった感じになりやすいと、思われます。ハイ。
⑥ 高温時のグリップ
これも、KUMUHO V700 の方が、圧倒的に、◎ です。
「高荷重でのグリップ」 にて、説明しましたように、
タイヤが温まると、厚いゲージ & 密度の低い ソフトコンパウンド の
ADVAN A052 では、タイヤの内部にヨレが発生します。
すると、このヨレによる摩擦で、トレッド内部の温度は、どんどん上昇し、
でもって、温度が上がることで、このヨレはもっと大きくなってしまうのです・・・。
要するに、厚い部材はヒステリシスロスが大きいので、
運動エネルギーを熱エネルギーに変換しやすくなることから、
必要以上にタイヤ内部の温度が上がり、ヨレを発生させてしまうのであります。
まぁ~、どうしても、 厚い部材 = 蓄熱しやすい
となりますので、路面温度の高いシーズンは、少々厳しい状況となるのであります。
ちなみに、ブローの原因となる、ブリスターは、
タイヤの構造部分にて、強烈に蓄熱することにより、
タイヤの内部がオーバーヒートして、タイヤ表面に穴があく現象なんですよね~。
以上の理由により、高温時のグリップを比較すると、
薄いゲージ & ハードコンパウンド により、
タイヤ内部の温度上昇が限定的で、タイヤのオーバーヒートに強い
KUMUHO V700 に、アドバンテージがあるのです。
いかがでしょう・・・・・?
なんとなぁ~く、タイヤのキャラクターは、伝わったでしょうか??
誤解を恐れることなく、
V700 と、A052 の向き/不向き、得意/不得意、といった観点から、
各項目別に、田中がマッチングが良いと思うタイヤは・・・・・、
低荷重状態でのグリップ 力 → A052
高荷重状態でのグリップ 力 → V700
低い路温での温まりやすさ → A052
高い路温でのシッカリ感 → V700
冷間時のグリップ 力 → A052
温間時の剛性感 → V700
温間時のレスポンス → V700
コーナリングはステアリング命! → A052
コーナリングは荷重移動の有効活用! → V700
重量の軽い車両(軽量化が進んだ車両) → A052
と言った感じとなります。
(クドイようですが、すべて、田中の独断と偏見と思いつきですので、
物理的、化学的な根拠は何ひとつありません・・・・・・・・・・・・・・・・)
で、4月に行われた REV SPEED ミーティング
このアタック本番 で、田中がチョイスしたのは・・・・・・、
KUMUHO V700
(タイヤウォーマー使用)
で、ございました。
ま、タイヤウォーマーを使用することで、
V700 のデメリットを最小限に抑制し、
TC2000 における高荷重に、ヨレることなく、対応できる V700 をチョイスしました。
で、もし、タイヤウォーマーが使用できなければ、
A052/V700 のどちらにするか、かなり迷ったと思います。
だって・・・・・、
A052 チョイスなら、タイムアタックのチャンスは、 1Lap のみ!
きっと、2Lap 目になると、「トレッド内部の動き」 により、タイムは伸びないし・・・・、
反対に、V700 で、タイヤウォーマー無しなら、リアタイヤが温まるのに、
7~8Lap は、必要となりますので、超オーバーステアの状況で、
冷静にタイヤを温めるという リスクが生じてしまいますからね・・・・・・・・・・・・・。
また、スイフトは、NAですから、
周回しても、パワー的にパフォーマンスは落ちませんが、
エンジンが熱を持つ前にアタックする必要のある ターボカーなら、
きっと、A052 チョイス になったと、思います。
ですから・・・・、
アタックは、1Lap で決める自信がある → A052
数Lap 走らないとタイムが出ない → V700
といった、一面もあると、思います。
以上、忖度0% & 超個人的な思い込みによる
田中ミノル の 勝手に、タイヤ比較! (A052 vs V700) でした!!
誰にも、怒られませんように・・・・・・・・・。